Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

【設計・監理:中村伸吾建築設計室(http://n-shingo.net/)】

周平です。

今回はMさんの家新築工事(高砂市)の上棟について書かせて頂きます。実は3月末の上棟でしたが、昨今の多忙につきすっかりご報告が遅くなってしまいました。

Mさんの家はコの字型の間取りとなっており、大きく分けて主屋、ハナレ、廊下の3棟で構成されています。骨組を組み上げる建前は通常1日で棟まで上げる事(上棟)ができますが、こちらの家は棟が3つありますので、1日では組み上げられません。通常より手間がかかる仕口もあり、建前開始から上棟式まで5日間という長期間の工程となります。大工7人、レッカー1台で作業していきます。

まずは1日目、主屋から組み上げます。主屋は2階建てです。 下の写真は1階の柱を立てている所です。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

次に胴差、梁などの2階の床を支える材木を組み上げていきます。レッカーで材木を吊って、いくつもあるホゾ穴に柱を合わせ、カケヤという大きな木槌を叩いて大工それぞれが息を合わせ一つ一つ組み上げていきます。材木を組み上げていく際、予め棟梁が材料に番付という番号を打っていますので、7人の大工が指示を受けなくても各自が判断して手際よく組上がっていきます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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2階の床にJパネルという板を乗せていきます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

Jパネルは12mmの杉板を3層に貼り合わせて1m×2m×36mmの厚いパネルとなっています。国産材である杉を使う事により、環境貢献、地場産業の貢献、防災、健全な生態系の保全に寄与する事ができます。(今回の材木は全て桧・杉の国産材となっています)杉を積極的に活用するという事で昨今このJパネルが注目されています。理由については下の段落で説明します。少し長くなりますが「何故?」と思う方は是非ご覧ください。

日本の材木は海外の多くと違って計画的に植えられ、計画的に伐採されます(持続可能・サステイナビリティー)。まず、建材用の木はまっすぐ上に伸びるよう密集して植えます。ある程度育つと木々により地面に日光が当たらないため間伐が必要となります。間伐する事により日光が当たり、木々が健全に育ち、低木も育ちます。木々や低木は元気になり、大気中のCO2をどんどん吸収し、人間の呼吸に必要な酸素をどんどん生み出します (空気浄化作用)。元気な木々や低木は地面に根を張り、強固な山肌となります。これが大雨の際に土砂崩れを防ぎます(防災)。また、節がない材木を作る為に枝祓いをします。枝祓いをする事により、地面に枝が落ち、それが養分として地下水に溶け込み、その栄養豊富な水が川に流れ、海に注ぎます。それが川や海の良質な魚介類が育つ源泉となります (豊かな生態系の育成)
戦後の住宅難により、国策として大量の杉や桧が植林されましたが、昨今、輸入材や新建材の台頭により、日本の材木の活用が低下してきており、林業としての生業が成り立たず、多くの山林が放置された状態となっています。上記の説明でもわかります通り、国産の材木を使わないと国土が不健全になると言っても過言ではありません。日本の材木は計画的に植えられ、計画的に伐採されているため、環境破壊にはなりません。むしろ環境貢献となります。ですから、木の家を造る工務店としてなるべくなら国産材を使いたいと私は思っております。現在国産材はそんなにお値段がかかる訳でもありません。日本の木は余っています。日本の木をどんどん使っていきましょう。

2階の床のJパネルが張り終わると粘着のビニルを貼ります。壁が出来上がるまでこれから何日もかかりますので風雨にさらされても問題ないようきっちりと養生します。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

2日目はある程度組上がらないとできない準備加工をしました。この工程をしないと次に進めませんが、7人も要らないレッカーなしの作業です。今回は割愛しておきます。

3日目。昨晩は雨が降る予報ではありませんでしたが、急な雨に備え念の為すっぽりとブルーシートで養生しました。

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2階の柱、梁、桁を組み上げていきます。家がまっすぐに組上がっていくよう、仮筋違という斜めの材木を仮に打って、家を垂直にし、傾かないようにします。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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次に小屋組みです。小屋とは屋根裏の事です。桁などの横の構造材の継手は追っ掛け大栓継ぎという一般的なものより強度が高い伝統的な工法です。この仕口は機械ではできません。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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家のシンボルとも言える棟木を設置します。棟木は家の一番高い部分にある構造材で、通常はこの木を設置する際に上棟式という儀式を行い、お祝いをします。しかし、今回は手順上ハナレや廊下の棟を組み上げるのを後としていますので、これらの構造材が組上がった時に上棟式を行う段取りとしています。よって後日となります。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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下の写真はコミ栓というものを打って、柱と梁が離れないようにしています。最近の家はこのコミ栓打ちが少なくなってきており、金物で留めるものがほとんどです。今回はこの部分が室内に見えますので、見えても美しく接合するように木の栓を打っています。少し手間が掛かりますが、木の家を造る工務店として、なるべく木でつくるという意味で私はこの継手が好きです。

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次に垂木という屋根を支える材木を取付けていきます。垂木は通常45㎜幅程度の細い材木を45cm程度の間隔で取付けますが、今回は120㎜角の太い材木を96cm間隔で取り付けていきます。太い材料の為、φ12mmのコーチスクリューボルトでしっかりと取付けていきます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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垂木の上にJパネルを設置します。Jパネルは36mmの分厚い杉のパネルのため垂木の間隔を96cmとしてもしっかりとしています。ちなみに一般的に垂木の上に乗せる野地板は12㎜が主流です。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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4日目はハナレを組み上げていきます。主屋と同様に進めていきます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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廊下部分も組み上げていきます。

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今回も急な雨に備えブルーシートでスッポリと覆って帰ります。手間がかかる事ですが、もしもがありますのできっちりと雨養生します。

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5日目となり、いよいよ建前最終日です。この日で家の構造体が全て組上がります。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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上棟式が近づき幣串をつくります。幣串は上棟式の際、屋根の上に掲げます。お施主様のM様に墨で直筆でお名前を書いて頂きます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

棟梁が幣串を屋根の上に取付ます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

全ての構造材が組上がり、笑顔の植田棟梁。今日までピリピリしていましたが、いい顔しています。

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植田棟梁(左)と設計の中村伸吾氏(右)。いい雰囲気だったので写真撮りました。

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いよいよ上棟式です。屋根の上で行います。

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こちらがお供えです。生の鯛と酒、塩、洗い米を供えます。

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屋根の四隅を塩、洗い米、塩で清めます。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)
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塀串の前で今後工事を進める大工と監督の私で二礼二拍手一礼

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続いて棟梁による追打ちの儀。
「千歳棟(バンバン)。万歳棟(バンバン)。永永棟(バンバン)」
掛け声と共に、玄能という金槌を叩いて棟を打ちつける儀式をします。
千年も万年も末永くという意味を込め、今後の工事の安全を祈願します。
最近はこの儀式をする事も少なくなったと聞きますが、竹田工務店では必ずします。これをして、ようやく上棟という感じがします。

Mさんの家新築工事 上棟(高砂市)

この後、乾杯を行い無事上棟が終わりました。幣串は一晩屋根の上に飾っておきます。この後、屋根裏にくくりつけて、引き渡し後も屋根裏に設置しておきます。

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工事はまだまだこれからですが、ようやく大きな山を終えた感じがします。11月までの工期となっていますので、今後も報告したいと思います。

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