平屋を手かつぎで上棟

平屋を手かつぎで上棟

新築工事で主要構造体である骨組を組み立てる工程を建前(たてまえ)と言います。家の中で一番高い構造材の棟木を上げる事を上棟(じょうとう)と言います。上棟の時は上棟式を行い、工事の中でも最もドラマチックで人手が要る特別なお祝いの日となります。

 

さて、建前です。建前の前日までに、コンクリートの基礎の上に土台という木を固定して材料もある程度搬入しておきます。土台は国産の桧の無垢材としています。

 

手前の壁が斜めとなっています。今回の家はこれが最大の特長となります。

住まい手は本を執筆されている方。喧噪とした都会から、この片田舎に引っ越してきてプチ田舎暮らしをされたいとの事。東西南北面とも隣家と向かい合いあまり好ましい景観になっていませんでしたが、南東が開けている立地となっていました。南東面は方角的にも最も気持ちの良い方角。それでしたら、壁を斜めにして南東面に大きな出入りができる窓を設けましょうと提案しました。家庭菜園をされる予定ですが、畑越しに広々とした景色を見て頂いて、執筆活動をして頂こうと想い、こういった間取りになりました。

 

屋根は普通に四角形の平面となっています。そのため、斜めに切り取った角の部分が屋根がかかっている外部空間となり、夏場の日射調整や、庇の役割となります。ここに出入りできる大きな掃き出し窓を設けます。下の写真は完成後の様子です。

角の独立した柱は桧の磨き丸太として外観を印象付けています。まずはこちらから設置していきます。

 

基礎工事後に丸太の柱を乗せる石を予め固定しておきます。

石には穴をあけています。そこにすぐに固まるセメントを流します。

丸太柱に予めボルトを取り付けておいて、上から石の穴にボルトを差して、丸太の柱を地面に固定します。

他の柱を立てていきます。持続可能な社会に貢献するため、国産無垢の杉を構造材として採用しています。国産の杉や桧を使う事は環境貢献することになります。

 

次に柱と柱の頭を繋いでいく、梁などの横架材を組んでいきます。比較的小さな新築工事ですので、レッカーは使わず手担ぎで骨組を組み立てていきます。

 

カケヤという大きな木槌で叩いて、木をはめていきます。

 

建物が垂直になるように仮筋交いを設置します。

棒で押して柱の角度を調整し、

下げ振りをみて、

垂直になったところで、斜めに木を釘で設置し、仮に固定します。

角に斜めの木を設置して水平に変形しないようにします。火打梁(ヒウチバリ)といいます。

同時に金物で固定していきます。

次に屋根の傾きをつくるために小屋束(コヤヅカ)を乗せます。その上に屋根を支える母屋(モヤ)という木を小屋束の上に乗せます。

母屋の一番高い棟の木が棟木(ムナギ)といいます。

 

その上に垂木を設置します。端っこの垂木は跳ね出しているため予め組んで乗せます。

これは一般的な手法ではありませんが、実はシロアリから建物を守るためにこういう工法をしています。下の写真のように跳ね出しの屋根は予め作業場で大工が組み上げておきます。

屋根の下地板を張っていきます。野地(ノジ)といいます。

屋根の防水シート(ゴムアスルーフィング)を張ります。これで雨が降っても大丈夫です。

上棟飾りの幣串を作ります。建築主のお施主様に筆で記名していただきます。

幣串は上棟式で屋根の上で一晩お祭りしておきますが、その後は天井裏に奉納して、この家をずっと守り続けます。

棟梁を中心に屋根の上で上棟式を行い、今後の工事の安全祈願をします。

屋根の四方を清めています。

今回も無事上棟が終わりました。

 

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